
4番目は「私人性」ということでございます。1人1人の個性や主張を大事にしながら、率直に自分の本音を吐き出して、それをトータルとしてエネルギーに転化させていく、これがマネージャーの仕事になるわけでございます。ホールの館長さんも、1人の観客も、お互いに裸で温泉に入っているような気分でホールの事業について語り合える、そういう私人性が大事なのではなかろうかという気がします。 それから、「自由性」ということでは、「こまばアゴラ劇場」の場合ですと、これは完全な民間の自主経営でございますけれども、平田オリザさんが一応やっているのでありますが、使用時間なども非常に柔軟でございまして、時間延長は1時間4000円払えばできるという状況で、徹夜の仕込みも可能だというようなことでございます。 全国的には、開館時間につきましても、朝9時から夜9時までが18.2%、朝9時から夜9時半までが17.8%、それから夜10時までが55.9%、その他が8.1%と、平成6年度の調査でなっているようでございます。けれども、この辺あたりもこれからもっともっと自由な方向へ転換していくということのためにも、スペシャル・アートマネージメント機能というものをホールがどのように取り込んでいくかということにかかわってくるんじゃないかなというような気もいたします。 それから、「柔軟性」ということでは、もう時間がございませんので余り詳しくは申し上げられませんが、横浜のSTスポットなどの例とか、アメリカのミルウォーキーの地域演劇などでも、芝居が終わると必ず飲んで食べて、そしてアーチストと観客が一緒に語り合う、必ずそれがあるというんですね。こういうことなども、ホワイエーでの飲食の自由性の問題。さらに宿泊の問題ですね。これはカッブ・ストリート・プロジェクトとかいう、サンフランシスコなどを中心としてかなり長期的に芸術家がそこに滞在して創造していくということなどを事業にしているところがあります。それも含め、また長期ロングランの問題も含めまして、できるだけこれからはホールの自由な活性化ということが期待されていると思うわけでございます。 もちろん、行政的な規則、条例等でかなり拘束があるわけでございますけれども、そこをどのようにクリアして、新しいホールの機能というものをスペシャル・アートマネージメントの立場から考えていくかということが課題となっているんじゃなかろうか、そう思うわけでございます。さらに、世界的なネットワーク化による情報の交流、人的交流、さらに母源性ということで、ホールが地域おこしの新しい揺りかごとなっていく、ホールが地域の芸術文化の創
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